2012年08月23日

真言声明の音階

日本の音階(東洋音楽選書9)に収録されている、
真言声明の音構造(沢田篤子著)で図示されている
様々な真言声明の音階の部分をまとめてみました。

私は残念ながら現時点で仏教の知識は0に近いから、
この声明はこう言うものと言う解説は全くできません。

ただ音階の一覧を眺めるだけでも面白いんじゃないかな?


・真言声明の音階

真言声明は基本的に日本テトラコルド理論で説明できます。
完全4度の2種類の核音とその間に挟まる1音の組み合わせ。

【ド】―?―【ファ】

完全4度のドとファが核音、西洋音楽理論での終止音になり
その間に挟まる?の音は西洋音楽理論での導音になります。

このブログでは便宜的に核音を【】で示します。

これから紹介する音階は基本的に【】内の音で終止し、
それ以外の音は【】内の音に進行する導音になる。

【】内の音=T(トニック)
【】外の音=D(ドミナント)

こう読み替えても問題はありません。


・経

【ド】

一般的なお経は単一の音のみで演奏(?)されます。

ただ完全にピッチが同一と言うわけでもありません。
多少ピッチは揺れ動きます。特に下方向に揺れやすい。

まあ実際のお経を思い浮かべれば理解できるはず。


・祭文

シ♭―【ド】

祭文の音階は明確に導音が感じられる音階です。

時折明確に核音の音が長2度下に下がり、
シ♭に移動した後ドに解決することになる。


・如来歌

シ♭―【ド】―レ♭

下方向上方向両方に導音がひっついた形の音階。

シ♭もレ♭も両方ともドに進行することになるから、
逆に言うとシ♭→レ♭と言う動きはあまり見られない。


・理趣経経文

【ド】―ミ♭―【ファ】

日本テトラコルド理論の一番基本的な形です。

ミ♭はより距離の近いファに進行する場合が多い。
だからドよりファの方がより終止感が強くなります。

とは言えドも核音だからドで終止しても問題ない。


・神分

【ド】―ミ♭―【ファ】―ソ

ファの上方向にも導音がついてよりファが強くなった音階。

ファが強くなった分、ファのさらに完全4度上にある
【シ♭】が新たな核音として加わる場合もあります。

逆にドを強めるために導音のレ♭が加わったりもする。


・後唱礼

【ド】―ミ♭―【ファ】―ソ♭―ソ

ソに加えてソ♭と言う導音も追加された音階。

ソ→ファorソ♭→ファと言う2種類の導音があるだけで、
ソ→ソ♭やソ♭→ソと言う導音同士の進行はありません。


・理趣経正宗分各段頭句

【ド】―レ―【ファ】―ソ

ドとファが両方とも上方向に導音を持っていて、
ドの強さとファの強さがほぼ均等になっている音階。

ただレ→ファは進行できてもソ→ドは無理だから、
どちらかと言えばまだファが強い音階になります。


・大般若表白

シ♭―【ド】―レ―ミ♭―【ファ】

ドの下方向に導音が追加された音階。
ド―ファ系の中ではもっともドが強いです。


・九条錫杖

シ♭―【ド】―【レ】―【ファ】―【ソ】

ド―ファとレ―ソの二重核音構造になっている音階。

ド―ファが核音の時にはレ―ソは導音になります。
逆にレ―ソが核音の時はド―ファが導音になる。

常に核音が4種類あるわけではないから注意。


・対揚

【ド】―ミ♭―【ファ】―ラ♭―【シ♭】―ド

ド―ファ―シ♭系の一番基本的な形です。


・四智梵語

【ド】―ミ♭―【ファ】―ラ♭―【シ♭】―ド

対揚と非常によく似た構造をしている音階。

いや、よく似たと言うか全く同一じゃんw
と突っ込まれそうだけど細かな部分が違う。

ただこの記事内でそれを説明するのは面倒だから、
両者の違いが知りたい方は原文を読んでみてください。


・云何唄

【ド】―ミ♭―【ファ】〜〜〜【シ♭】

【ファ】の核音のピッチを徐々に上げていって
最終的にシ♭に到達する特殊な歌い方をします。

最終的に到達するのは別にシ♭でなくともいい。

ファの音程を徐々に上げていく歌い方であれば
ラで止まってもラ♭で止まっても問題なし。


・散華

【ド】―ミ♭―【ファ】―ラ♭―【シ♭】

音階としては基本的なド―ファ―シ♭系になりますけど、
それに加えてこの音階では云何唄の歌い方も使えます。

ファからシ♭まで徐々に音程を上げていく歌い方も可能。

ただ散華の場合は普段の歌で既に【シ♭】が核音だから、
ファから音程を上げる時も【シ♭】で止めるのが自然です。


・五悔

【ド】―レ♭―レ―【ファ】―ソ♭―ソ―【シ♭】

こちらもド―ファ―シ♭系の基本的な形。

レ♭orレ・ソ♭orソは後唱礼の考え方に準じます。
両方とも導音であって導音同士の進行はしません。


・涅槃講和讃

【ド】―レ♭―【ファ】―ソ♭―【シ♭】

五悔の導音からレとソが消えた形の音階。


・御影供表白

【ド】―ミ♭―【ファ】―ソ♭―【シ♭】

導音がファに寄ったド―ファ―シ♭系の音階。
もちろんファが非常に強い音階になります。


・教化

【ド】―ミ♭―【ファ】―ソ♭―【シ♭】

基本的な音階構造は御影供表白と同じ。

ただこちらは【ド】にシ♭の導音が付いたり
【シ♭】にラ♭orドの導音が付いたりします。

【ファ】以外にも導音がある御影供表白と言うこと。


・理趣経勧請

【ド】―ミ♭―【ファ】―ソ♭―ラ♭―【シ♭】―ド

ファ及びシ♭両方に双方向の導音が配置された、
ファとシ♭双方が非常に強くなっている音階。


・四智漢語

【ド】―ミ♭―【ファ】―ソ―ラ♭―【シ♭】―ド―レ♭―【ミ♭】―ファ

非常に音域の広い音階になります。

完全4度積みの日本テトラコルド理論は見てのとおり、
1オクターブ上の音が同じ役割を持つとは限らないです。

1oct上のドを核音にしたりしないようにしましょう。


・涅槃講式

シ♭―【ド】―【レ】―ミ♭―【ファ】―【ソ】―ソ♭―【ラ】―シ♭―【ド】―【レ】―ファ―【ソ】

なんだこれw

わけが分からないだろうから解説すると、
ド―ファ・レ―ソ―ド・ラ―レ―ソの
3種類の核音が組み合わさっています。

どれかの系統の核音が優勢な時は
他の系統の核音は導音に変化します。

だから核音は常時2個or3個しかありません。


・仏遺教経

【ド】―レ♭―レ―【ファ】―【ソ】―ラ♭―ラ―【ド】

声明では珍しい、しかし日本音楽ではお馴染みの
テトラコルドを長2度離してくっつけた音階です。

レとラを消せば都節音階だしレ♭とラ♭を消せば律音階。
posted by sakha at 18:42| 日本音楽理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月18日

日本和声を適当に読んでみる(5)

今日で日本和声の勉強は終了。
さて次は何の勉強しようかな…。

しばらくはこの程度のそこまで難しくない
マイナーな(?)勉強を色々とやる予定です。

次の大物ジャズに取りかかるのは7月からだな。


・転調

日本和声でも転調は可能です。

と言うかむしろ一般的な音楽理論より
日本和声の方が転調は自然に聴こえます。

なぜか、と言うとそれは音数が少ないから。

ほぼ全て(平行調への転調以外)の転調は
元調の音階外の音を追加することになります。

7音音階で音階外の音が増えて8音以上になると
7音に慣れた耳には違和感が残り、不自然になる。

しかし5音音階で音階外の音が増えて6音になっても、
7音に慣れた耳にはむしろ足りない音が補充されて
今までより自然に聴こえてしまう効果があります。

5音音階特有の利点なので積極的に利用すべき。


・転旋

陽旋⇔陰旋のように旋法を変える場合は
Iの和音を経由して転調を行います。

Iの和音はどの音階だろうとドファソ。

だからドファソの和音に解決してしまえば
その次に何の旋法が続こうが許容されます。

全旋法→I→全旋法

前後がどんな旋法でもIを経過すればOK。

逆にIを経由せずに旋法を変えるのは良くないです。
一般的な音楽理論で言うSDm的な転旋はよろしくない。

なぜかと言うとこれもやっぱり音数が少ないから。

日本音階は5音音階で、転旋をすると2音増えるから
転旋を頻繁に行うと単なる7音音階になっちゃいますw

頻繁にSDm的な他旋法の音を積極的に取り入れた場合、
不自然にはならないけどほぼ7音音階になってしまって
日本音楽特有のノリが全く無くなってしまうことになる。


・核音共通調

和声学の近親調≒日本和声の核音共通調です。

例えばド調の核音はド&ファ&ソ。
そしてソ調の核音はソ&レ&ド。

このように共通した核音を持っている場合は、
T和音のIの和音構成音を省略or増やすことで
特定調のIを他の調のIに変えることができます。

例えばド調のIからファを省略してド&ソにしたり、
逆にレを新たに追加してド&ファ&ソ&レにする。

こうするとド調のI=ソ調のIになるから、
後はそれをソ調のIとして扱えば転調できます。

核音共通調A→共通のI→核音共通調B

ドを核音に持つのはド調の他にファ調&ソ調。
ファを核音に持つのはド調の他にファ調&シ♭調。
ソを核音に持つのはド調の他にソ調&レ調。

つまりド調の核音共通調はレ調&ファ調&ソ調&シ♭調。

移動先の調でもドの音が核音として残る
ファ調とソ調はよりド調と親和性が高いです。


・共通和音転調

例えばド調陽旋1のII四和音(ミ♭・ファ・ソ・シ♭)は
ソを省略することでシ♭調のI(シ♭・ミ♭・ファ)になる。

そして同じ和音は和声学同様自由に行き来できます。
これは一般的な音楽理論の転調と同じ手法ですね。

一般的な音楽理論同様、共通和音付近の和音進行は
どちらの調でも通用する進行にしておくのがポイント。

上の例ならド調の内からシ♭調で核音になるミ♭を多用するとか、
逆にシ♭調で核音から外れるソの音をド調でも強調しないとか。
posted by sakha at 20:06| 日本音楽理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月15日

日本和声を適当に読んでみる(4)

日本和声の勉強は(5)で終わりかな。
今日と明日の日記でまとまるはず。

もっと派生音階を利用した変位和音について
ページを割いて説明して欲しかったんだけど、
この本は基本的な和声の解説までで終わってる。

芸大和声で言うとIIで終わってる感じ。IIIが欲しいw


・その他和音

前回の記事で勉強した基本三和音以外の
日本和声で扱う和音を勉強していきます。

その他和音も取り扱いは基本三和音に準じ、
それぞれTorDorSDの役目を与えられます。

ただその他和音は例外的な性質が強いので、
基本三和音を使わずその他和音を多用すると
どうしても変に聴こえてしまう場合が多い。

慣れない内はその他和音の多用は控えましょう。


・二和音

二和音は全て三和音の省略形だと考えます。
ド+IIはIVの省略、ド+ファはIorIVの省略etc。

日本和声の三和音は2度間隔の音が多いから、
クラシック和声とは違い省略形は多用されます。


・三和音

昨日紹介した各三和音の基本形以外の和音、
例えばド・II・ファのような構成音の和音は
付随和音と言う名称で呼ぶことになります。

まあ和声学で言う所の転位和音と言う所。

また付随和音の概念を拡張していって、
音階外の(最初に学んだ派生音階の)
音を和音に使用することも許されます。

これは和声学で言う所の変位和音ですね。
現代風に言うなら要するにテンション。

特に頻繁に使用される和音としては、
上方変位のD和音が有名になります。

D和音のIVを半音上に上げる変位和音。

何のことはない、要するにシ♭をシに上げて
導音を作る目的のために存在する和音ですw

D和音の時だけ音階内のシ♭がシに半音上がるのは
いかにも和声学な響きだから推奨しにくいんだけど、
まあ一般的な耳には馴染み深いと言えば馴染み深い。


・四和音

派生音を考えないのなら四和音は5種類だけ。

ド・II・ファ・ソ
ド・II・ファ・IV
ド・II・ソ・IV
ド・ファ・ソ・IV
II・ファ・ソ・IV

要するに5音の内1音だけ使わない和音です。

II・ファ・ソ・IVは前回勉強したとおりD和音。

ドファソ三音揃ってる和音2種はT和音、
残りの2種はSD和音としての性質が強い。


・五和音

五和音は当然一種類だけ。
ド・II・ファ・ソ・IVです。

これはT和音としての性質が強い。

他にどんな音が加わろうと、核音三種類が
全て揃ってる和音は基本的にはTになります。
posted by sakha at 22:38| 日本音楽理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月13日

日本和声を適当に読んでみる(3)

日本和声の規則には実は連続8度も存在しています。

ただ、私は日本音階でまで連続8度に拘る必要性を
全く感じないからこの禁則には触れる気はありません。

日本和声の勉強もかなり教科書内の記述を
自己流にアレンジしてしまっているから、
まあ読む時はその辺だけはご了承ください。


・日本音階のダイアトニックコード

今日は日本音階のダイアトニックコードを考えてみます。

日本音階の基本5音の上に作られる和音である
I・II・III・IV・Vの和音の働きはどうなるのか。

昨日の日記でI=TとII=Dについては勉強しました。
まあ復習の意味も込めて改めてIから見ていきましょう。


・I

ド・ファ・ソの三和音。T=終止和音になります。
ファやソが省略されることはある。ドは省略されない。

和声学同様Iの和音からは全ての和音に進めます。

I→全和音
D和音→I


他の和音との連結はこんな感じになる。


・II

II・ファ・ソの三和音。IIは音階によって変質します。

陰旋1や陰旋2のようにIIがドに近い音ほど
ドミナントとしてTに解決する性質が強くなる。

逆に陽旋1のようにIIがドから遠く離れると
ドミナントとしての性質は非常に薄くなります。

それを避けるためにIIはIVの音も加えてしまい
II・ファ・ソ・IVの四和音にしてしまうのが一般的。

この四和音はどんな場合でもDとして通用します。

IVを加えずIIがドから遠い陽旋1IIの和音は、
TでもDでもないから便宜上SDと呼びます。

ただ日本和声のSDは和声学のSDとは別物で、
TにもDにも進行できる和音になるので注意。

全和音→II
II→T和音

全和音→陽旋1II
陽旋1II→全和音


基本的なIIはD和音だからTへの進行が強制される。
しかし陽旋1IIはSDだから他のどの和音に進んでも良い。


・III

ファ・IV・ドの三和音。IVは音階によって変質。

核音を2種含んではいるものの、日本音階では
ファよりもソの方が核音になりやすい関係上
IIIの和音はTよりSDとしての性格が強くなります。

全和音→III
III→全和音


また陰旋1以外のIIIはファ・シ♭・ドとなり、
ファ&シ♭+ド&ファの二重完全4度からなる
ファ調のIの和音を色濃く感じる配置です。

ド調のIII≒ファ調のIとなり転調に利用できる。


・IV

ソ・ド・IIの三和音。IIは音階によって変化。

日本音階はド&ファ+ソ&ドの二重完全4度だから、
ソを核音とする三和音もT的性質が非常に強いです。

と言うことでIVの和音もT和音として扱われます。
和声学のCの代理Amのような扱われ方をされる。

IV→全和音
D和音→IV


ただし陰旋法におけるIVの取り扱いは要注意。

陰旋のIVはソ・ド・レ♭の三和音からなります。
ソ&レ♭は言うまでもなく三全音間隔ですw

三全音のあの響きをT和音として受け入れられるか。

受け入れられるんなら何の問題もない。
どうしても無理ならレ♭を省略しましょう。

ただしレ♭省略のIVとはつまりソ+ドであって、
ファ省略のIと全く同じことだからその点は注意。


・V

IV・ファ・ソの三和音。IVは音階によって変化。

Vの和音はIIの和音と性質が非常に似ています。
IVがドに近いほどDになり離れるほどSDになる。

IIを加えて四和音のIV・ファ・ソ・IIとすると
もう完全にIIの四和音と同一の形になります。

全和音→V
V→T和音

全和音→陰旋1V
陰旋1V→全和音


IVがドから離れている陰旋1のみSD和音。
その他はD和音でT和音に解決されます。
posted by sakha at 20:36| 日本音楽理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月09日

日本和声を適当に読んでみる(2)

今日は基本的な日本和声の連結を勉強します。

日本和声の連結は西洋の理論には従わないものの、
考え方としては西洋音楽理論を下敷きにするから
ある程度は西洋音楽理論の知識があった方が良い。

最低限ダイアトニックコードの連結程度は
何も見ずに説明できるくらいの知識は必要かな。

この手の西洋音楽理論には従わないものの、
考え方だけは西洋音楽理論から拝借してくる
和声理論をモード(旋法和声)と呼びます。


・トニックとドミナント

一応前回の内容をおさらいしておきます。

陽旋法1 ド・ミ♭・ファ ・ソ・シ♭(民謡音階)  
陽旋法2 ド・レ ・ファ ・ソ・シ♭
陰旋法1 ド・レ♭・ファ ・ソ・ラ♭(都節音階)
陰旋法2 ド・レ♭・ファ ・ソ・シ♭

第一核音 ド 第二核音 ソ(orファ)


ド=I
ドとファの間の音=II
ファ=III
ソ=IV
ソとドの間の音=V

これからは便宜上各音をローマ数字でも呼びます。

ドとファの間の音&ソとドの間の音の2音に関しては
激しく動き回るからII&Vと一言で呼べると便利。


まずは日本音階におけるトニックを考えてみます。
トニック、つまり一番最後に終止する和音は何か。

最後に終止する音=核音は決まっています。
だから核音を全部積み重ねればそれがTになる。

つまりド・ファ・ソのIsus4が日本和声のT。

日本音階はどの音階もドファソドのテトラコルド構造だから、
どの音階を使おうがTは常にドファソのIsus4になります。

sus4が絶対的なTと言うのは西洋音楽で考えると
非常に不自然なんですけど、まあそれが日本和声。

ただこれが不自然になる理由は他にもある。
その仕組みと解決方法については後述します。


続いて日本音階におけるドミナントを考える。

西洋音楽でシ→ドの半音でのTへの解決から
ドミナント和音が次々誕生していったように、
日本音階でも核音に順次進行で進んでいく
音を全部積み重ねればそれがドミナントです。

II→ド
ファ→ソ
ソ→ファ
IV→ド


このII・ファ・ソ・IVの四和音がドミナントです。

IIやIVはドファソドのテトラコルド外の音だから、
当然使用している音階によって変化する音になる。

例えば陽旋法1ならミ♭・ファ・ソ・シ♭、
陰旋法1ならレ♭・ファ・ソ・ラ♭がDです。

要するにド以外の全部の音だと考えると分かりやすいw

陽旋2のDはIVm7(短七の和音)
陰旋2のDはIVm7♭5(半減七の和音)

と和声学でどうにか呼べる配置もあるものの、
和声学では説明できない和音配置も出てきます。

だから日本和声のDは全てIIと呼びます。
陽旋2のIIとか陰旋1のIIと呼び分ける。

TのIsus4も日本和声では単純にIと呼ぶ。


・D和音の構成音省略

D→Tの連結には一ヶ所不自然な部分がある。

第2核音のファorソは、片方が核音になった場合は
もう片方は導音的性質を持つと言う性質があります。

要するにソが核音ならファが導音でソに解決し、
ファが核音になったらソが導音でファに解決すると。

だからソとファを両方とも核音にしてしまうと、
ソもファも両方とも導音にもなってしまうと言う
非常に不自然な事態が発生することになります。

日本和声のIsus4がTに聴こえないのはこれが原因。

これを避けるためにはTからファorソを省略するか、
もしくはファとソの間隔を1oct以上広げてしまうか
(長9度→短7度の解決なら不自然ではない)
まあ色々な方法を試して柔軟に対処してください。

Isus4が問題なくTに聴こえるならそれでも良し。


またファorソの省略とは全く別にIIやIVも省略されます。
特にドから遠く離れたIIやIVは省略されることが多い。

例えば陽旋1のミ♭→ドや陰旋1のラ♭→ドは
音階上は確かに順次進行してドに解決したものの、
音程として短(長)三度も離れていて順次進行に感じにくい。

こう言う場合はD和音からIIやIVを省略してしまうか、
あるいはドではなく別の音に解決する方法があります。


陽旋1II→Iの進行を考えてみましょう。

シ♭→ド
ファ →ソ
ソ →ファ
ミ♭→ド

基本形はこうなります。

シ♭→ド
ソ →ファ

二重のファ&ソとミ♭→ドの不自然な進行を省略。
しかし省略しすぎると和音でも何でもなくなります。

シ♭→ド
ソ →ファ
ミ♭→ファ

そこでミ♭を上の第2核音に進行させてみる。
これで見た目がぐっと和音進行らしくなった。

シ♭→ド
ファ →ソ
ミ♭→ファ

ファとソの関係を入れ替えても二重のファ&ソにはならない。

入れ替えることでIが省略音無しの完全体になったものの、
実はこれ全ての音が長2度上に上がっただけの進行だから
和声学的に言うと並行になってしまってあまり良くはない。

ただまあこれは日本和声であって和声学ではありません。

和声学的に良いかどうかを気にするよりは
自分の感性で良いか悪いかを判断しましょう。
posted by sakha at 19:18| 日本音楽理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする