2012年03月21日

十二音技法を適当に勉強してみる(3)

十二音技法の勉強は今日の記事で終わりにします。
長々と続いたクラシック音楽の勉強もここまでかな。

なにか面白そうな本を見つけたら追記する方向で。

松平頼則の近代和声学も読んでみたいんだけど、
国会図書館まで行かないと読めないってのは困るw

なんでこんな絶版だらけなんだ近代クラシック本は。


・応用アレンジ

今日は十二音技法の応用アレンジ手法を学びます。

前回学んだ十二音技法の基本アレンジ手法とは違い、
応用アレンジ手法は作曲者によっては肯定されない
十二音技法のルールを多少逸脱する手法になります。

応用手法は人によっては十二音技法の一種だと
認められない場合もあるから一応注意が必要。


・移高

旋律的要素 変化なし
和音的要素 変化なし
調的要素 変化なし


音列内の全ての音を○半音移動させる手法です。
カラオケのキーの上げ下げだと考えると分かりやすい。

一般的な音楽理論だと要するに移調(転調)ですけど、
十二音技法にはそもそも調がないから移高と呼ぶ。

移高は音の高さが切り替わる時に基本ルールに抵触する。

とは言え移高した後は全ての音の関係が全く同じだから
旋律的にも和音的にも調的にも全く変化はありません。

応用アレンジの中では一番無難、と言うか
移高は基本アレンジに含める人の方が多いかな。

ただ十二音音列に全く変化はないから
十二音音列のアレンジと呼ぶのは変です。

この"移高"で曲全体の雰囲気が変わっていくとしたら
それは"移調"を感じてしまっていると言うことだから、
十二音技法的にはあまり歓迎したくないアレンジではある。

厳格な十二音技法としてはあまりよくない手法。

ただ自由な、和声学の良い所も取り入れるような
分かりやすい十二音技法曲を作る時は活躍します。

4半音や7半音、要するに長3度や完全5度移高した
音列を元の音列と一緒に鳴らすことで伴奏を作ると言う
十二音技法+和声学の手法を使う作曲家は数多い。


・同音連打

旋律的要素 変化大
和音的要素 変化?
調的要素 変化?


同音連打はクラシック音楽理論全てに共通する、
理論的には非常に扱いの難しい手法になります。

同じ音を連続して鳴らすのはその音だけが強調されるから駄目。
と言うのは対位法でも和声学でも十二音技法でも同じです。

ただ逆に、長い単独の1音を演奏する代わりに
短い複数の音で代用すると言うのは許容されている。

要するに同音連打が"単音"に聴こえたら○、
同音連打が"複数音"に聴こえたら×と言う
なんとも判断に困る指標しか用意されていません。

この辺の判断は十二音技法でも作曲家に任されています。


十二音技法は同音連打を許可すると非常に世界が広がります。

隣の音、隣の隣の音と和音を構成できると言うことは、
同音連打を許可すると"分散和音"も作れることになる。

ドレミ・/

ド・・・/
レ・・・/
ミ・・・/

ドドドド/
レレレレ/
ミミミミ/

ド・・ド/
・・レ・/
・ミ・・/


ドレミの和音の同音連打による副産物だと言い張れば、
ドミレドと言った音列を外れる旋律も簡単に作れます。

この辺はいかにも和声学的発想の十二音技法
と言った感じで個人的にはあまり好きじゃない。

とは言え隣や隣の隣の和音といつでも分散和音を
作れると言うのは非常に幅広い用途に使えるので、
同音連打を許容すると楽曲の幅が広がります。


・順序入れ替え

旋律的要素 変化大
和音的要素 変化大
調的要素 変化大


十二音音列の一部を入れ替える手法です。
ドレミファ…だったらドミレファ…と言う感じ。

これは変化が薄そうで非常に変化が激しくなる、
逆行とは正反対の意味で見かけによらない奴です。

これは和声学で考えてみるとよく分かる。

I→VI→II→Vの進行の一部を入れ替えて、
I→II→VI→VやI→V→II→VIにしたら
1ヶ所入れ替えただけで滅茶苦茶になります。

十二音音列は各々の音が隣の音と和音関係、
つまり独特の進行関係を生んでるわけなので
これを入れ替えるのは和声学に例えると
コード進行の順番を入れ替えるのに等しい。

と言うことでかなりの劇物です。取扱注意。
posted by sakha at 18:28| クラシック音楽理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月16日

十二音技法を適当に勉強してみる(2)

前回は十二音音列の作曲を勉強しました。

極端な話完成した十二音音列を延々と鳴らし続ければ、
それだけでも十二音技法で作曲した楽曲と言えます。

とは言えそれだけで楽曲と呼ぶのは少々心細い。

十二音音列(十二音の並び)はおよそ4億8000万通りと、
一見多そうでしかし芸術としては少ない数しかありません。

50万人が100年間で十二音音列を10パターン使ったら
それだけでもう全音列を消費してしまうわけで…。

十二音音列だけを作曲とするのは少し難しい。
それに多少のアレンジを加えて作曲になります。

今日は十二音技法のアレンジ手法を考えてみましょう。

アレンジ手法は『旋律的』『和音的』『調的』
にどう変化するかを主な評価基準にしました。

この3項目がどんな意味だったかは前回の記事参照。


・リズム変化

旋律的要素 変化小
和音的要素 変化なし
調的要素 変化小


十二音音列の鳴らすリズムを変更する、
一番簡単なアレンジ手法になります。

全部4分音符だったのを8分音符にするとか、
旋律の特定部分を早くしたり遅くしたりとか
4拍子だったのを3拍子にしてみるとか。

隣り合う音は同じだから和音的に変化はありません。

音符の長さの変更により旋律の雰囲気が少し変わるのと、
周囲の音の間隔が変わり調的にもわずかな変化が生まれる。

しかし大きな変化はなく組み入れやすいアレンジです。

唯一の難点はこれを多用すると変拍子(無拍子)になること。

拍子面でも斬新な展開にしたいならともかく、
リズムは安定させたい場合は多用はできません。


・オクターブ移動

旋律的要素 変化大
和音的要素 変化小
調的要素 変化小


ドレミ…と言う音名そのものは全く変えずに、
ドレミの内レだけを1oct上げ下げする手法です。

音名は変わっていないから和音・調的な変化は薄い。
(2度⇔9度のように多少雰囲気の変化はあります)

それでいて旋律面では大きな変化が生まれるので、
同一調&同一和音上で旋律を変えていくと言う
いかにも和声学的な楽曲を作ることができます。

しかし旋律面に非常に大きな影響が出るのが最大の欠点。

1oct以上の跳躍進行が頻発する進行は
自然な旋律とはお世辞にも言い難いです。

この手法を使う時は旋律面が綺麗に収まるかを
絶えず注意しつつ旋律を動かすのが望ましい。


・逆行

旋律的要素 変化大
和音的要素 変化なし
調的要素 変化なし


ドレミファソ…と言う音列があったとしたら、
それを途中から…ソファミレドと反対にする。

一見するとなんかいかにも馬鹿っぽい発想なのに、
十二音技法では一番基本的なアレンジ手法だから
これを見て十二音技法自体が馬鹿にされやすいです。

しかし真面目に考えるとこの手法は実に優れている。

音列が反対になっても隣り合う音は同じです。
ミの隣はレ&ファで、隣の隣はド&ソになる。

だから和音的要素と調的要素は変化ありません。

旋律的な変化は大きいものの、oct移動と違い
音と音との跳躍する間隔に変化はないから
元が自然な旋律なら逆行旋律も自然になりやすい。

そう言う意味で見た目のネタっぽさとは裏腹に、
十二音技法の逆行はかなり扱いやすい手法です。

ただ逆行は厳密に考えると十二音技法の
基本ルールを破ってしまう配置なので注意。

ドレミファソ…………ソファミレドと言う風に逆行させると、
別の11音を鳴らすまで次の音は鳴らせないと言う規則は守れない。


・反転

旋律的要素 変化大
和音的要素 変化なし
調的要素 変化なし


ド(2半音上)レ(2半音上)ミ(1半音上)ファ…

ド(2半音下)シ♭(2半音下)ラ♭(1半音下)ソ…

こんな風に音列の進行方向を反対にする手法です。

2音が何半音離れているかは方向が反対になっても
変化はないから和音的調的な変化はほぼ0に近い。

旋律的には大きく変わるけどoct移動とは違い
元が自然な旋律なら反対にしても自然になる。

雰囲気は変われど手法的な効果は逆行と似ています。


・和音

旋律的要素 変化大
和音的要素 変化大
調的要素 変化大


隣り合った音を同時に鳴らすこともできます。

これは最初に学んだリズム変化の究極系、
つまり隣の音と"間隔が0"になっている
と言う風に考えると十二音技法の範疇になる。

間隔が0だから、旋律的にも調的にも
隣の音の影響が非常に強くなります。


・基本アレンジ

音列を変えないリズム変化&和音とオクターブ移動、
そして音列を縦横それぞれ反対にする逆行と反転が
十二音技法の基本と呼べるアレンジ手法になります。

この5つの手法は十二音技法を厳格に守っている。

少し触れたように逆行と反転は厳密に考えると
十二音技法の基本ルールに反してるんですけど、
まあこれすら許容してない人は見たことがない。

次回は今回の基本アレンジに比べるとより激しい、
基本ルールから逸脱している応用手法を見ていきます。
posted by sakha at 19:00| クラシック音楽理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月13日

十二音技法を適当に勉強してみる(1)

今日からは十二音技法の勉強を始めます。

【十二音による対位法】南弘明著
【十二音による作曲技法】入野義郎著


今回の勉強で主に教科書にするのはこの2冊。
それに他の書籍やネット上の情報も+αしてます。

大半の本が絶版状態と言うのが本当に泣ける。

十二音技法とは十二音全ての音を"平等に"扱うことで
終止音や導音、つまりTやDと言った音楽概念を消して
和声学的な概念では作れない楽曲を作成する理論になる。

当然和声学のような音楽理論の知識はほぼ不要だから、
むしろ意外と作曲初心者にもお勧めできる技法です。

十二音技法に"わけのわからない"曲が多いのは
和声学勉強済の人が和声学を否定するために
あえてわけのわからない曲を作ってるだけだから。

作曲初心者がいきなり十二音技法をやった場合は
案外分かりやすい曲も増えるような気がします。


・十二音音列

十二音全てを平等に使う基本ルールとして、
一度使った音は残り十一音を全て使うまで使用禁止
と言う十二音技法特有の約束ごとがあります。

ドの音を鳴らしたらレ♭・レ・ミ♭・ミ・ファ…と言うように
残った十一音全ての音を鳴らさないともう一度ドは鳴らせない。

当然レ♭の音の後にも十一音の別の音が続くことになるから、
ルールに厳密に従うと常に音の並びはループすることになります。

その十二音の音の並びを作るのが十二音技法の作曲になる。

ド・ミ・レ♭・ラ・ラ♭・レ・ソ・ファ・シ♭・ミ♭・シ・ソ♭・ド・ミ…(以下ループ)

例として適当に十二音の音列を作ってみました。

この音列の並びで順番に音を鳴らしていけば、
ドの後には別の十一音が鳴った後再びドが登場して
ミの後にも別の十一音が鳴った後再びミが登場して
と言う風に常に基本ルールに従った旋律が作れます。


・音列の作曲方法

では実際に十二音音列を作曲してみましょう。

この音列は楽曲全般を支配する音列になるから、
適当に作ってしまうと楽曲も適当になります。

時間をかけてじっくりと真面目に作曲すべき。

と言ってもどう言う音列を作れば良くなるのか
方針が全く無いと手の付けようがないはず。

と言うことで幾つか要点を押さえておきます。


1 旋律的要素

これはその名のとおり。

音列を鳴らした時に旋律的に美しく感じるかどうか。
美しさなんて完全な主観だからこれは好きにやっていい。

自分が好きな流れだと思える音列を作りましょう。


2 和音的要素

十二音技法は十二個の単音ではありません。
それぞれの音は隣の音と和音的な関係にあります。

ド・ミ・レ♭・ラ・ラ♭・レ・ソ・ファ・シ♭・ミ♭・シ・ソ♭

この音列だと例えばレはラ♭&ソと和音的な関係にある。

隣の音と半音何個分離れているかによって、
その音の雰囲気は随分と変わってきます。

半音1個 不協和要素最大(短2度)
半音2個 不協和要素あり(長2度)
半音3個 和声学要素あり(短3度)
半音4個 和声学要素最大(長3度)
半音5個 協和要素あり(完全4度)
半音6個 不協和要素強め(三全音)
半音7個 協和要素最大(完全5度)
半音8個 和声学要素強め(短6度)
半音9個 和声学要素あり(長6度)
半音10個 不協和要素あり(短7度)
半音11個 不協和要素強め(長7度)
半音12個 十二音技法には存在しない(同じ音名だから)


半音13個以上は半音の数を−12個した時の性質と似ている。

音楽理論の知識は必要ないと最初に書いちゃったから
無駄に各度数の個人的な感想を書いておきましたけど、
度数の雰囲気を掴んでいる人はそれを流用して構いません。

半音10〜半音14くらいを多用したらジャズ風味だろうな、とか。

上の表を利用すると音列の印象をある程度操作できます。

半音1・半音6・半音11を多用すると不自然な音列になる。
半音5・半音7を多用すれば非常に綺麗な音列になる。
半音3・半音4・半音8・半音9を多用すると和声風味になる。

ただ基本ルールの都合上完全には操作し切れません。

仮に半音4だけの音列を作ろうとするとド・ミ・ラ♭・ド(×)
半音3だけの音列を作ろうとするとド・ミ♭・ソ♭・ラ・ド(×)

こんな風に12音全てを使えずに音列が止まってしまうから、
半音3だけとか半音4だけの十二音音列は使えません。

まあ最後までできちゃう場合もあります。

ド・ソ・レ・ラ・ミ・シ・ソ♭・レ♭・ラ♭・ミ♭・シ♭・ファ

半音7だけの十二音音列は上記のように作れますね。

これは十二音音列じゃないだろw 五度圏じゃねえかw
と言う風に突っ込みたくなる人も多いかもしれません。

しかしこれも間違いなく十二音音列です。何もおかしくない。

和声学を学んだ人ならこれは十二音音列ではないと
考えてしまうから当然この音列は採用しません。

しかし五度圏を知らない人なら普通にこの音列は採用できる。
だから初心者の方が分かりやすい十二音曲を作れる可能性は高い。

まあこれも最終的には個人の好みで決めましょう。

和声要素を嫌って半音3489を完全に消す人もいれば
半音3489をできる限り入れて和声風味にする人もいます。


3 調的要素

上の項では隣の音との関係だけに注目しました。

しかし十二音音列ではそれに加えて隣の隣の音、
近くにある音全ての影響が少なからず存在します。

ド・ミ・レ♭・ラ・ラ♭・レ・ソ・ファ・シ♭・ミ♭・シ・ソ♭

先程レはラ♭&ソに影響されると勉強しましたけど、
実はラやファ、レ♭やシ♭にも軽い影響を受けている。

隣の隣、隣の隣の隣、隣の隣の隣の隣etcの音とは、
間隔が狭いほど影響が強く間隔が広いほど影響が弱くなる。

例えば上の音列が全て32分音符だったとします。

ここまで間隔が狭いと中央のレはほぼ全ての音の影響を強く受け、
半音1・半音2〜半音11までの全ての性質の影響を受けます。

結果としてわけのわからない音になるw

十二音技法がわけのわからない楽曲になる理由は
音列の間隔を狭くしすぎているのが一番の原因。

11個の半音間隔の内5個は不協和な間隔と言えるから、
隣の隣の隣の音にまで影響を受けたら確実に不協和です。
(合計6個の異なる音=異なる半音間隔に影響を受ける)


2音の間隔が一拍以内(0.5秒以内)=強い影響
2音の間隔が一小節以内(2秒以内)=弱い影響


一応適当に線引きをしてみました。

当然こんな適当な秒数に明確な区切りがあるわけではなく、
間隔(拍や秒)が増えるほど影響は弱まっていきます。

それぞれの音の間隔をかなり広く取っておけば
隣の隣以降の音の影響をほぼ無視できるから、
(隣同士は間隔が広くても無視はできない)
不慣れな内は間隔を広めに取った方が良いです。

ただ間隔が広いと旋律的な魅力が激減するんだよな。

まあその辺を取捨選択しつつ音列を作りましょう。
作った音列を楽曲にする方法は次回勉強します。
posted by sakha at 21:37| クラシック音楽理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月11日

20世紀の作曲を適当に読んでみる(3)

現代音楽の基本を学ぶのは今回で終わり。

次回の記事からは教科書を別にして
十二音技法をより詳しく学んでいきます。

【20世紀の作曲】は現代音楽全般を扱っているから
セリエル音楽や自動作曲、偶然性の音楽のような
より先進的な音楽についても詳細な記述があります。

ただこの辺は作曲技法として学ぶのは少し無理がある。
だからこのブログでは深く勉強せずに終わらせます。


・斬新な音色

音楽の三要素に"音色"が無いことから分かるとおり、
何故か西洋クラシックでは音色が軽視されていました。

普通に考えたら和声より音色の方が根源的なのにw

まあこれは時代的な側面が非常に大きいです。

一小節ごと、一音符ごとに演奏する楽器を変更すると言う
斬新な音色の指示はその発想自体は古くからあったものの、
現実的にそれだけの演奏者を集めて楽曲を演奏するのは難しい。

楽器にも演奏者にも現実面で非常に制限が多いから、
音色に拘った音楽は和声学の時代は生まれにくかった。

逆に、だからこそ現代の音色の分野は発展しました。
"斬新な音色"は唯一成功した現代音楽分野と呼んでいい。


・電子音楽

音色とは様々な倍音の組み合わせである。
と、管弦楽法の勉強の時に学びました。

つまり純音(特定の周波数だけの音)を倍音列に並べ、
各音の強さを変えれば自由自在に音色を変更できる。

これで今までの楽器には存在しなかった斬新な音色を作ろう。

これが言うまでもなくシンセサイザーの始まりです。

シンセと聞いて現代音楽を思い浮かべる人は少数でしょうけど、
少なくとも初期のシンセは現代音楽の一環として研究された。


・ミュージックコンクレート

録音機器の発達により、気軽に音を録音して
好きなときに再生できる環境が整いました。

そこで街中の雑音や人の声、環境音なんかを
録音してそれを楽曲に取り言える試みが生まれた。

これは言うまでもなくサンプラーの始まりで、
サンプリング音楽の始まりでもあります。

現代のポップス曲でシンセorサンプリング音を
全く使っていない曲はほぼ皆無に近いでしょう。

ロックやフォークソング等の生演奏曲でも
大抵はどこかしらに電子音楽要素がある。

少なくとも音色と言う面では、現代音楽は無事に
古典クラシックを打ち破って大衆的な音楽になれた。


・前衛音楽

音楽の枠を外れた前衛音楽についても、
一応簡単に内容の説明だけしておきます。

セリエル音楽(トータルセリエリズム)と言うのは
古典的な十二音技法をさらに進化させた考え方です。

十二音を全て平等に使うと言う条件に留まらず、
音符の長さ、演奏する強ささえも平等にした
あらゆる音楽要素が平等に扱われる音楽のこと。

偶然性の音楽とはその名のとおり偶然性のある音楽。

例えば次に鳴らす音が指定されず自由で良かったり、
各小節の組み合わせをランダムにしたりと言った
楽曲自体が毎回変化する性質を持った音楽のことです。

色々な意味で有名なジョンケージの4分33秒も、
あれはその時の観客の反応を音楽と見立てた楽曲。

観客の反応は当然毎回変わるから、あれも偶然性の音楽です。


この手の先進的音楽は人の思考と音楽を切り離し
規則や偶然に音楽を任せると言う思想を持っています。

だから現代の方がよりこの手の音楽作りやすいんですよね。

偏って音やリズムを使わず全ての音楽要素を平等に出すと言う
セリエル音楽は専用のプログラムでも組めばさくさく作れるし、
偶然性の音楽はMIDIデータのどこかに乱数でもぶち込めばいい。

パソコンさんに任せれば簡単に人の思考と音楽は離れる。

ただまあそれで人の思考と音楽を切り離して面白くなるの?
と言う疑問を抱いた人は少なからずいたんだと思います。

シンセやサンプラーはPCの普及に伴って大衆化したけど、
前衛音楽は全く浸透しなかったのが何よりの証明になるはず。

大衆は前衛音楽を音楽とは認めなかったんでしょうし、
私も正直な所前衛音楽は音楽とは思うことができません。

まあと言うことで、このブログではこれ以降
前衛音楽の細かい内容に関しては触れません。

次回以降は音楽理論として語れる現代音楽の話をします。
posted by sakha at 11:21| クラシック音楽理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月08日

20世紀の作曲を適当に読んでみる(2)

現代音楽の教科書の大半は絶版状態になってて、
必要な教科書を探すのが非常に面倒臭いです。

現代音楽そのものは確かに難解な曲が多く
大衆向けの音楽でないことは間違いない。

ただ現代音楽の技法はそこまで難解なものではなく、
ある程度作曲経験のある人なら楽しんで学べるし
学んだ技法は大衆向けの音楽にも取り入れられる。

現代音楽は難解だけど現代音楽の技法は難解ではない。

だから現代音楽の教科書はもう少し生き残ってもいいんでは…。
今風に言うなら現代音楽の"技法"はもっと評価されるべき。


・斬新な和音

十二音音階の所でも少し触れましたけど、
和声学の和音は3度間隔が基本になります。

つまりそれ以外の和音は和声学的ではない、
言いかえれば現代音楽になる和音と言うこと。

完全4度(5度)積み和音 4th(5th)インターバルビルド
短2度積み和音 クラスター


この2種類はジャズやポップスでも馴染み深いはず。
他にも長2度や7度を積んだ和音も現代音楽的だ。

6度は転回すると3度だから和声学的だし、
1度8度と三全音はいくら積んでも同じ音で
和音にならないからw基本的には使いません。

また旋律の項と同様に半音より細かい微分音を
和音構成音として取り入れる手法もあります。


・斬新なリズム

音楽の三要素は旋律・和声・リズム。
最後に斬新なリズムを考えてみましょう。

リズムは和声以前の対位法から、グレゴリオ聖歌から
既に存在した概念なのでこれを否定するのは難しいです。

リズムの否定と言うと無拍子や変拍子が思いつきますけど、
無拍子も変拍子も古来から普通に存在していて斬新ではない。

斬新なリズムを作るにはどうしたら良いのだろうか。

その結果考え出されたのが単音から和音を作り出したように、
リズムとリズムを足して別のリズムを作り出す考え方でした。


・ポリリズム

近年大ヒットしたJ-POP曲のおかげで、
概念を知っている人は非常に多そうです。

単音(モノフォニー)→和音(ポリフォニー)
単リズム(モノリズム)→和リズム(ポリリズム)


単音を重ねて和音を作り出したように、
リズムを重ねて新しいリズムを作る。

あのJ-POP曲は4拍子にポリリズムの5文字を
隙間なく当てはめたために4拍子+5拍子の
2種類のリズムが混在する曲になっています。

他にも3拍子と6拍子が混ざってるらしいけど、
ここはJ-POPを分析する場ではないから置いといてw

ともかく全く別のリズムを同時に鳴らして
新しいリズムを作ることをポリリズムと呼ぶ。


ポリリズム自体は残念ながら古来から存在します。

と言うか各々が思い思いに楽器を鳴らしたら
それもある意味ポリリズムみたいなものなので、
それこそ原始の音楽ではよく見られるリズム。

古典クラシックにもポリリズムは使われるから
これだけではまだ現代音楽とは言えません。

現代音楽的リズムはさらにポリリズムを複雑化させます。

例えば3連符と5連符と7連符と9連符を混在させる。
または演奏パート別にテンポそのものを変えてしまう。
拍が全く揃わない全く別のリズムを合体させてみる。

現代音楽的リズムは様々な手法で生み出されます。

和声学は結局のところ楽譜と音符で表現できるので、
"楽譜や音符では再現が難しいリズムパターン"
と言うのはそのまま現代音楽的リズムになります。
posted by sakha at 19:01| クラシック音楽理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする