2012年08月12日

北アメリカ民族音楽を適当に勉強してみる(3)

最後に黒人霊歌→ゴスペルの流れを勉強して
北アメリカの"民族"音楽の勉強は終わりにします。

続いては1945年以降の北アメリカの音楽を
ポップス音楽理論の範疇で勉強しましょう。

ジャズと、それとやっぱりロックもやらないとな。
まあ適当に色々本を読んで何を勉強するか決めます。


・黒人霊歌

アメリカ大陸の奴隷がキリスト教と出会って、
独自に作ったキリスト教の歌が黒人霊歌です。

だから歌詞はキリスト教がテーマなんだけど
音楽的にはアフリカ音楽の要素が非常に強い。

音楽的にもキリスト教の教会音楽の影響を受け始めると
黒人霊歌ではなくゴスペルと言うジャンルになります。

ゴスペルは20世紀初頭には誕生していたジャンルですけど、
R&B等の1945年以降の音楽ジャンルに非常に影響を受け
進化したジャンルだから民族音楽の項では深く勉強しません。

黒人霊歌+教会音楽=ゴスペルとだけ考えておけばよし。


・黒人霊歌の音階

3度積みの音階が基本となります。
ド・ミ・ソ・シ(・レ)と言うこと。

ただブルースのブルーノートでも勉強しましたけど、
黒人音楽の3度は長3度より低く歌われることが多い。

その結果ド・ミ♭・ソ♭・シ♭になることも多いです。

ただ黒人霊歌には調律された楽器による伴奏がないから、
ドミソシがドミ♭ソ♭シ♭になっても違和感がありません。

ドミソシ→ドミ♭ソ♭シ♭と転旋しただけにも見えます。
だから黒人霊歌にはブルーノートは存在しないので注意。
(ミ♭が演奏されてもそれがミに解決したりはしない)

ゴスペルは逆に西洋の調律された楽器で伴奏されるから
当然ブルーノートは存在するしその解決も行われます。


・黒人霊歌のリズム

シンコペーションが多用されます。

ブルースやラグタイムのように低音部のリズムが一定で
歌声だけ裏拍始動するシンコペーションよりもより強い、
裏拍が表拍に変化するアフリカ的なシンコペーションになる。

1 ○・○○/・○・○/
2 ○・○/○・○・○/

1ではなく2のようなノリだと言うことです。
変拍子同士がくっついて4拍子になってる感じ。


・黒人霊歌の楽式

コール&レスポンスと言う有名な特徴があります。

合唱する数名の内一人が先に数小節の歌を歌って、
その後残りの数名がそれに対する返答を歌う形式。

元々はアフリカ音楽でよく見られる形式だったものの、
一人の信仰の告白→それに対する賛同と言う感じで
キリスト教に非常に合う音楽の形式だったために
コール&レスポンスはゴスペルで多用されていきます。

現代人としてはコール&レスポンス形式と言うと
むしろゴスペルを思い出す人の方が多いでしょう。
posted by sakha at 09:27| 民族音楽理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月08日

北アメリカ民族音楽を適当に勉強してみる(2)

今日はカントリーミュージックを勉強します。

ヒルビリー・ウエスタン・カウボーイソングとも呼ばれる
北アメリカの"白人の"民族音楽。様々な呼び名があります。

黒人がアメリカ大陸でもアフリカ音楽を演奏したように、
当然白人はアメリカ大陸でも欧州の音楽を演奏しました。

黒人のアフリカ音楽が西洋の音楽の影響を受けたように、
白人の西洋音楽も当然黒人のアフリカ音楽の影響を受けた。

そんな黒人音楽とは対極の関係で発展したのがカントリーです。


・カントリーの音階

欧州の民族音楽では一般的なドレミソラの五音音階と、
ブルース的な単調なスリーコード進行を持っています。

ただブルースではないからI7・IV7・V7ではなくI・IV・V。
同様にミがミ♭になったりと言った変位音も見られません。

まあ一般的な欧州の民族音楽と旋律面ではほぼ同一です。

後にカントリーはブルースの影響を受けて変位音を使いだして、
リズム&ブルースやロックンロールと言うジャンルに進化します。

ただR&Bの成立は1945年以降だから民族音楽の項では取り上げません。


・カントリーのリズム

2拍目と4拍目、裏拍を強調するのが特徴です。

この裏拍強調はアメリカ音楽では非常によく見られる特徴。
ラグタイムの低音部も同じく2拍目と4拍目を強調しました。

これは最終的にロックのリズムに受け継がれます。

逆に現代人はロックの一般的なリズムをイメージすれば
2拍目4拍目強調のリズムを理解しやすいんじゃないかな。

ド・ソ・/ド・ソ・/ド・ソ・/ド・ソ・/

カントリーの低音部は根音と完全5度を繰り返します。
仮にソの部分が和音になるとラグタイムになるわけだ。

ド・ソソ/ド・ソソ/ド・ソソ/ド・ソソ/

またはこんな風に2拍目4拍目が連打になることも多い。

黒人音楽の影響を受ける前のカントリーミュージックは
黒人音楽で特徴的なシンコペーションの多用はありません。

その点も一応注意しておきましょう。


・カントリーの構成

民謡や童謡と同じような一部形式or二部形式が大半です。
8小節なり16小節なりの塊を1番2番と繰り返す感じ。

使用される楽器はバンジョーやフィドル(バイオリン)。

特にバンジョーはアメリカで生まれた楽器であり、
カントリー音楽では非常に多用される楽器です。

バンジョーはギター等の弦楽器で代用される場合も多いものの、
この場合はカントリーではなくフォークと呼ぶのが一般的らしい。

バンジョーをギターで代用したフォークソングは
日本でも流行ったからお馴染みのジャンルですね。

日本のフォークソングは大きく変貌してはいるものの、
カントリー→フォーク→Jフォークと言う流れに乗って
進化してきたカントリー音楽の1系統と考えられます。
posted by sakha at 19:25| 民族音楽理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月01日

北アメリカ民族音楽を適当に勉強してみる(1)

続いてはブルース以外の北米民族音楽を勉強します。

奴隷の仕事歌→ブルース →ジャズ
奴隷の宗教歌→黒人霊歌 →ゴスペル
白人の演奏家→カントリー→ロックンロール
黒人の演奏家→ラグタイム→ジャズ


ブルースと同時期の北米民族音楽の流れはこんな感じ。

かなり適当な図で本来はもっと複雑に絡んでるけど、
まあ便宜的な説明と言うことでこう書いておきます。

今日はこの中からラグタイムを勉強してみましょう。


・ラグタイム

『音楽を演奏する』仕事を与えられた黒人発祥の音楽です。
つまり黒人が雇い主の白人向けに作った音楽と言うこと。

白人向けだから他の黒人音楽よりも西洋的な要素が強い。

ブルーノートのような音階から外れる音だったり
3連符等の難しいリズムはあまり多用されません。

ラグタイムにブルースのブルーノート要素を足すと
それはブギウギと呼ばれる音楽ジャンルになります。


・ラグタイムのリズム

ラグタイムと言う単語に馴染みはなくても、
タイムラグと言う単語に馴染みはあるはず。

そして両者の単語の意味は全く同じです。

つまりラグタイム=タイムラグのある音楽と言うこと。

高音部 ・○・○/・○・○/・○・○/・○・○/
低音部 ○・○・/○・○・/○・○・/○・○・/

こんな風に低音部と高音部のリズムが半拍ズレている、
高音部にタイムラグのある音楽をラグタイムと呼びます。

まあ実際はここまで完璧にズレたりはせず、

高音部 ○○・○/・○・○/○○・○/・○・○/
低音部 ○・◎・/○・◎・/○・◎・/○・◎・/

頭の音は揃えてシンコペーション風にしたりもする。

そして◎で表現したように低音部は表拍ではなく
2拍目や4拍目の裏拍に当たる拍を強めます。

例えばC7がコード進行なら低音部のメロディは
○=ド ◎=ミ+ソ+ドと裏拍部分に和音を置く。

高音部は適当に音階の音を鳴らしてれば問題なし。
使う音階は西洋音楽と同じく長音階or短音階です。

上記リズムだと頭拍以外で低音部と高音部は重ならず、
頭拍は低音部の音数が少なく他の音を受け入れやすいから
高音部はかなり滅茶苦茶に鳴らしても綺麗に聴こえる。


・ラグタイムのコード進行

基本的にはブルース同様I7・IV7・V7のスリーコードです。
I7が中心で、たまにIV7になったりV7になったりする。

そしてそれに加えて『II7』が新たに加わります。
IIm7ではなくてダブルドミナントのII7の方。

V7に進む力が強いのはII7>IIm7・IV>IV7になるから、
T−SD−DのパターンはI7−II7−V7の進行で安定するし
T−SD−TのパターンはI7−IV7−I7の進行で安定します。

曖昧なIIm7がないから各コードの役割分担が明確で面白い。

作曲的にはブルースのスリーコード進行を8小節に直しつつ、
V7の前に時折II7を挟んでいくだけでそれっぽい進行になります。


・ラグタイムの楽式

A−B−Aの三部形式が一般的。

Aで主題を演奏した後にBで雰囲気を変えて、
最後に主題をもう一度演奏して終わります。

Bの部分では下属調や属調に転調することも多い。

転調とは言え元々のコード進行が単純だから

C調(主調)
I7=C7
IV7=F7
II7=D7
V7=G7


G調(属調)
I7=G7
IV7=C7
II7=A7
V7=D7


F調(下属調)
I7=F7
IV7=B♭7
II7=G7
V7=C7


使用する和音はほとんど変わりません。

属調に転調するとF7(元調のIV7)が消えて
代わりにA7(新調のII7)が新たに加わる。

下属調に転調するとD7(元調のII7)が消えて
代わりにB♭7(新調のIV7)が新たに加わる。

別にA7やB♭7を使わなくたっていいわけだから、
実質転調しても転調に聴こえない場合もあります。
posted by sakha at 19:57| 民族音楽理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月30日

ブルースを適当に勉強してみる(5)

今日でブルースの勉強は終わりになります。

ブルースの雰囲気は何となく理解できたんだけど、
どうにも言葉や曲で表現するのが難しいんだよな。

ブルースについてはまたいつか改めて勉強し直すかも。

調律もせず自然のままに任せたアフリカ民族音楽と
自然を歪めた調律である西洋の平均律が出会って
さあ大変、と言うのがブルーな要素になるんだよな。

自分の中では納得できたものの上手く説明できん。


・ブルーノート

ブルースの歌声で特徴的なブルーノートと呼ばれる音。
しかしこれも色々な定義があってややこしい存在です。

・長音階中に演奏される♭の音(下方変位音)
・長○度と短○度の中間の音(中性○度)

一般的にはこの2種類の定義が有名だけど、
これもやはり両方とも誤解を招きやすい表現。

上の定義はラ♭(SDM)がブルーノートになってしまうし、
下の定義だと短3度がブルーノートではなくなります。

・本来の和音構成音より低く演奏される音

この定義が一番無難なんじゃないかな。


平均律の長3度は非常に不自然な高さを持っています。

純正律と比較しても同一とは言えない位に高い音だし、
民族音楽では3度と言うと長3度より短3度が一般的。

だからドから3度上の音を自然に歌おうとすると
ド→ミ♭と長3度よりは低い音になる場合が多い。

ただコード進行はドミソシ♭のI7になっているから、
そのコードの上でミ♭を歌うと当然不協和になります。

ド→ミ♭(コードと合ってない)→ミ

だから一旦ミ♭を歌った後それは不協和だと気付いて、
後からミまで音を上げて歌声を修正することになる。

この不協和だと気付く前のミ♭がブルーノート。

もちろんこのミ♭は便宜的にミ♭としているだけであって、
綺麗にミを歌えなかった結果の音だから正確なミ♭ではなく
ミよりも少し音程が下になってしまった音と呼ぶのが正しい。

平均律に馴染みのない人はどうしても綺麗にドレミを歌えず、
多少ずれた音を発声してから不協和に気付き修正することになる。

まあしかし逆に言うとそれが味になって面白いと言うことです。


I7のミ→ソやソ→シは短3度だからブルーノートはあまり発生しません。
逆に言うとImaj7のソ→シはソ→シ♭→シとブルーノートになりえる。

IV7のファ→ラはファ→ラ♭→ラ、V7のソ→シはソ→シ♭→シと
こちらも短3度でブルーノートを経過する場合が多いです。

和音構成音の中で長3度間隔の2音は一旦短3度で跳躍して
そこから本来の音にピッチが修正される、とまとめられます。

これは人の歌声特有の現象で、ピアノやギターのような
綺麗に調律された楽器ではブルーノートは発生しません。
(人の歌声を真似てブルーノート風の音をだすことはある)

他の楽器は先日学んだブルース音階での演奏が基本になる。

そもそも他の楽器がミを演奏してるのにミ♭だからこそ
ブルーノートなんであって、全楽器がミ♭になったら
単にIm7になっているだけでブルーでも何でもないです。


・ブルースのリズム

最後にブルースのリズム面についても触れておきます。
ブルースはいわゆるシャッフルのリズムが基本になる。

○・○/○・○/○・○/○・○/

一般的には中間の音符がない12/8拍子と説明されます。

中間部分に音符を入れることもまあ多々あるものの、
基本的には3連符の真ん中は休符になることが多い。

これに加えてシンコペーションも多用されます。

ただし完全に拍が入れ替わるような強いものではなく、
一瞬だけ強拍がズレる程度の弱いシンコペーション。

1 ○・○/・・○/○・○/・○・/
2 ○・○/・○○/・○○/・○○/


1のように強拍の音符が無くなったりズレたりはする。
2のように完全に強拍弱拍が入れ換わることはあまりない。

まあ2のパターンも全く無いわけではありませんけど、
基本的には12/8拍子のリズムが常に優勢になっていて
リズム自体をひっくり返すようなシンコは多用されない。
posted by sakha at 19:44| 民族音楽理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月26日

ブルースを適当に勉強してみる(4)

今日はブルースの旋律面について勉強します。

特有の音階を持つ民族音楽は、その音階に従って
旋律を作れば大抵の場合はそれっぽく聴こえます。

しかしブルース音階は音階に従うだけでは
ブルース風の旋律には聴こえてきません。

そう言う意味でもブルース音階と言うのは嘘臭い存在。
前回勉強したとおり音階としては覚えない方が良いです。


・不協和音とその処理

ブルースではコード構成音以外の全ての音が不協和音です。

I7の時はド・ミ・ソ・シ♭以外の全ての音が不協和音になり、
不協和音は全て上の4音のどれかに解決させる必要があります。

と言うよりド・ミ・ソ・シ♭以外は基本的に使わない。
と断言してしまった方がより分かりやすいかもしれません。

ソ・ソ・ソ・/ミ・ミ・ミ♭・/ド・ド・ド・/シ♭・ラ・シ♭・/

こんな風にコード構成音を中心として旋律を組み立て、
それ以外の音は経過音風に鳴らして必ずその後解決させる。

コード構成音以外の音はいわゆるテンションと同じ扱いになります。

いや、と言うかこのブルース独特の不協和音の処理方法が
ジャズで体系化されて"テンション"になったわけなので、
むしろこちらの処理方法こそが元祖テンションなんですけど。

ともかくコード構成音以外は全て解決させること。

現代のテンションとブルースのテンションで一番違うのは、
ブルースのテンションは解決先が"2度"である必要はない。

ソ・ソ・ソ♭・/ド・・・・・/

現代のテンションは一番近いコード構成音に解決させます。
しかしブルースは↑のように遠い構成音にも解決できる。


・3度の旋律

コード構成音だけを中心にして旋律を作ると、
当然3度跳躍がかなり頻発することになります。

しかしそれで問題ないって言うかむしろそれが良い。

アフリカ音楽の歌の項目でも似たことを勉強しましたけど、
黒人音楽では2度の順次進行より跳躍進行の方が好まれる。

ブルースは3度の跳躍こそが基本の間隔であって、
合間を経過音で埋める必要は必ずしもありません。

逆に2度進行が続く方がブルースらしくないから、
コード構成音以外の音を連発するのは望ましくないし
テンション音を跳躍して解決してもOKと言うこと。


この3度の旋律の絡みで、シ♭からはドではなく
長3度飛んでレに跳躍進行する場合が多いです。

この場合のレはコード構成音に準じる扱いを受けて、
他の音に解決させる必要はなく連発しても問題ない。

しかしこれはドから長9度上のレに対する話であって、
ドから長2度上のレは当然コード構成音ではありません。

I7では長9度のレは連発できるものの長2度のレは連発できない。
これは3度の旋律を理解する一番分かりやすい例かもしれません。

短7度上のシ♭と長2度下のシ♭にも全く同じことが言える。


・旋律線

アフリカの言語は一番最初に目立つ最高音が来て、
それから音が段々下がっていく特徴を持っています。

黒人の歌うブルースにもそれと同じ特徴がある。

つまり一番最初にフレーズの中で一番高い音が来て、
そこから段々と音が下がっていって終止していく。

ド・ソ・ソ・/ミ・ミ・ミ・/ド・ド・ド・/シ♭・ソ・・・

ここで重要なのは必ずしも最後にドは来ないと言うこと。

アフリカの言語及びブルース両方に共通する性質で、
最後の音はあまり重要視されないと言う特徴があります。

終止する時にド以外の音も鳴らせると言うよりは、
終止の後にもう少し音を下げても良いと言う感じかな。
posted by sakha at 21:20| 民族音楽理論 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする